「せっかく採用してもすぐに辞めてしまう」「入社後に『思っていたのと違った』と言われてしまう」
そんなギャップや早期退職の悩みを抱える経営者や人事担当者は少なくありません。
そこで今回は、数多くの企業で採用ブランディングを手がけるCUBEのWebディレクターにインタビューを実施しました。
採用サイトで「良いことばかり」を伝えるのではなく、仕事の厳しさや職場のリアルな姿を届けることで、なぜ本気度の高い求職者が集まり、早期退職を防ぐことができるのか。
実際の制作現場で意識している取材の工夫や成功エピソード、自社の本当の姿を曝け出すためのポイントをじっくり伺いました。
—— 採用サイトで良い面ばかりをアピールして、入社後のギャップから早期退職につながってしまうケースをよく見かけます。CUBEでは制作時、クライアントの「仕事の厳しさやリアルな姿」をどのように引き出して反映させているのでしょうか?
ディレクター: まず「マイナス面」という考え方自体、本当にマイナスなのか?という視点から入るようにしています。
たとえば残業の多さや体力を使う現場など、一見マイナスに見える条件であっても、誰も好きでスタッフを苦しめようとしてその環境を作っているわけではありません。そこには必ず経営者の想いや、そうならざるを得ない理由があります。
私たちは過剰に良く見せる打ち出し方は一切せず、なぜその環境になっているのかという背景や、その中でもやりがいを持って頑張っているスタッフの生の声を丁寧に取材します。
本当の姿と、その中で生まれる魅力をそのまま届けることを大切にしています。
—— そのように「厳しさやリアルな課題」を包み隠さず掲載したことで、逆に覚悟を持った求職者が集まった具体的なエピソードはありますか?
ディレクター: あるレストランの採用取材がとても象徴的でした。
そこは先輩も経営者も厳しく、勤務時間も長い職場でした。
しかし取材を深掘りすると「ここで揉まれれば、料理人として確実に本物のスキルが身につく」という明確な価値があったんです。
そのリアルをそのままサイトに掲載したところ、「厳しい環境で自分を鍛えたい」「お金を払ってでも得られない経験をここで学びたい」という、非常に本気度の高い求職者からの応募が集まりました。
条件の厳しさを「成長への修行」と捉えてくれる人へ届いた結果です。
—— 「自社のカルチャーや空気感をサイトでどう伝えればいいかわからない」と悩む企業も多いです。社内の雰囲気や「体幹」を可視化するためにどんな工夫をされていますか?
ディレクター: 会社の雰囲気というのは、すべて経営者の思いや考え方から作られています。
ですので、創業のストーリーや今大切にしていること、目指す未来を経営者へじっくりヒアリングします。
そして、その想いが実際の現場にどう根付いているのかを、写真や動画を交えてコンテンツに落とし込んでいきます。
面白いのは、この取材プロセスを経ることで、経営者自身や既存のスタッフも気づいていなかった自社の魅力や想いに改めて気づくことが多い点です。
採用サイト制作は、求職者向けだけでなく、社内の結束を強める「インナーブランディング」にも大きく役立っていると感じます。
—— 自社の「本当の姿」をさらけ出す採用ブランディングを行った結果、入社後の定着率や働く姿勢にはどのような変化が生まれましたか?
ディレクター: 会社をしっかり理解し、好きになってから入社してくれるので、厳しい場面に直面しても「聞いていなかったから辞めます」という人がいなくなります。
それどころか、新人であっても「社長の思いを知っているから、自分からもっと関わっていこう」と主体的な姿勢に切り替わっていくんです。
結果として、早期退職率は大幅に下がり、自発的に育つ人材が残るようになります。
—— 最後に、「自社の悪い部分を見せたら応募が来なくなるのでは…」と不安を抱えている経営者へ、メッセージをお願いします。
ディレクター: 不安になったときは、ぜひ「自社の良い面や本当の魅力は何なのか」を問い直してみてください。
厳しい面があっても、それを上回る魅力や目指す未来があるからこそ、顧客もスタッフも集まり、会社が存続できているはずです。
「うちにはこういう厳しさや課題もある。でも、だからこそこういう魅力があって、みんなでこの未来を目指しているんだ」
そうやって正直な姿をさらけ出すこと。それこそが、会社と同じ方向を向いて走ってくれる「本当の仲間」を引き寄せる一番の力になります。
おわりに
今回のインタビューで一貫していたのは、「良いところだけを飾って見せる採用は、結局のところ求職者にとっても企業にとってもハッピーにならない」という現実でした。
職場の厳しさや課題から目を背けず、その背景にある経営者の想いや現場のやりがいまでを愚直に発信していくこと。自社の「本当の姿」を曝け出すブランディングこそが、ミスマッチを無くし、同じ覚悟と志を持った「本気の仲間」を引き寄せる一番の近道になります。
採用後の早期退職や「思っていたのと違った」という求職者とのギャップに悩んでいる経営者・人事担当者の方は、ぜひ自社のありのままの魅力と向き合うことから始めてみてはいかがでしょうか。