会社の戦略を立案し、社員を強烈なリーダーシップで引っ張って事業を成し遂げる。企業経営にはとてもダイナミックな魅力があります。自分自身も将来企業経営をやってみたいと憧れる人は多いでしょう。昔に比べて起業をすることのハードルは下がってきていますので、きちんとした知識を持って自分をスキルアップさせていけば、その夢は叶いやすい環境になっていると言えます。
では一体、企業経営者になるにはどのようなことに関心を持ち、どのような方向でスキルアップを図っていけばよいのでしょうか。
この記事では、そうした具体的な情報をお伝えします。
企業経営者に必要な資質について
企業経営者には、やはり向き不向きがあります。
与えられたことをコツコツと確実にこなしていくことが得意な人もいれば、プロジェクトごとのリーダーとしてあくまで現場にこだわってリーダーシップを発揮していたいというタイプの人もいます。
では、企業を動かしていくトップにはどのような資質が必要なのでしょうか。
消費者のニーズを先取りする先見の明
企業経営者は、市場に新しい商品やサービスを投入していくチャレンジ精神が必要です。すでに市場で確立された商品やサービスを売り続けていくことももちろん大切ですが、企業のトップはそれに加えて新しい市場を開拓していくことが必須です。
例えばアップルコンピュータの故スティーブ・ジョブズは、常に消費者の求める一歩先のものを作り続けてきました。彼の消費者のニーズを先取りする先見の明がなければ、スマートフォンという現代生活に欠かせない商品は生まれることがなかったでしょう。
しかし経営者が全員iPhoneを発明するような先見の明を発揮しないといけないかといえば、そうではありません。例えば、運送会社のクロネコヤマトはそれまであった企業向けの運送業を、個人向けに展開することで独自のポジションを築きました。
また、富士写真フィルムはこのままではデジカメに押されて、普通のフィルムを使ったカメラが消滅してしまうという危機感を持ちました。そして社長の強力なリーダーシップで、使い捨てカメラの「写ルンです」を市場に投入し、莫大な収益を上げました。
このように、それぞれ違いはありますが、企業トップが先を見通してリーダーシップを発揮していくことが大切になってきます。
経営者に必要な実務的な知識
大企業の代表取締役は別として、小さな会社においては社長自らが現場の実務についてもきちんとタッチしておく体制が必要です。自分は戦略を考えて命令するだけで、現場のことは何も知らないというのでは、そもそも現場がついてきません。
ではいったい、経営者にはどんな実務能力が必要なのでしょうか。
営業面の実務能力
技術系の経営者にありがちなのが、いいものは作ったけどどうやって売ったら良いか分からないということです。素晴らしい技術を発揮して商品化まではこぎつけたけれど、それをどうやってアピールし売り上げにしていくかは会社の生命に関わる重要なことです。
プロジェクト管理能力
企業のトップは開発プロジェクト、販売プロジェクトなど、実際に事業を運営していく実務的な面でも能力が試されます。現場の指揮官に任せっきりでは現場の士気もあがりませんし、大きなミスが出てもそれがきちんと報告されてこないかも知れません。
企業トップはプロジェクトの隅から隅まで把握する必要はありません。しかし、要所要所でプロジェクトがきちんとした方向に進んでいるか、納期通りに納品できそうかなどをチェックする能力が必要です。
経理・財務能力
多くの経営者が実は苦手としているのが、このお金の管理に関わる分野です。これは技術畑出身のトップでも、営業畑出身のトップでも同じ傾向が見られます。技術者は技術に専念したいですし、営業マンは人と会うことを重視したがります。
しかし、企業経営においてお金は血液だとも言われています。きちんと体中を新鮮な血液が循環して初めて健康でいられるのと同じで、企業が健全に活動していくためにきちんとした経理・財務管理は必須となってきます。
さいごに
以上、企業経営に興味のある人向けに、トップに必要なことを解説しました。通常は企業のトップは実務にはあまりタッチせずに大きな夢を語っている、というイメージが強いです。しかし先見の明と同じくらい実務的な能力も大切なことです。