ブランディングがなぜ必要なのかを整理する時に忘れてはいけないのが「顧客生涯価値」(LTV)との関係です。LTV(Life Time Value)は顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益を意味します。
顧客は単発で次から次へのメーカーを変えて商品を購入する場合もあれば、「この商品だったら絶対この記者のものを使う」という信念を持っている場合もあります。
そうした顧客の継続的な購買活動の割合が高まれば高まるほど、企業は長期間の安定した収益を期待することができます。顧客の現在価値だけを上げるのではなく、生涯価値を上げるという視点です。
この顧客生涯価値を上げる時に重要になるのがユーザーに「継続したい!」と思わせるブランディングだということになります。
顧客の生涯価値(LTV)を上げるために必須のブランディング
LTVを上げることによって企業は長期的な安定した経営基盤を手に入れることができますが、具体的LTVを上げるためには下記のようなことを実施する必要があります。
■平均購入単価を上げる ⇒ 購入単価が2倍になれば売上も2倍になる
■購入頻度を上げる ⇒ 購入頻度を2倍にすれば売上も2倍になる
■継続期間を伸ばす ⇒ 継続期間が2倍になれば売上も2倍になる
■獲得費用を下げる ⇒ 獲得費用が1/2になれば利益が2倍になる
■維持費用を下げる ⇒ 維持費用が1/2になれば利益が2倍になる
⇒の効果を上げることができれば、マーケティン的に大成功ですが、ここで重要になってくるのが他でもない「ブランディング」なのです。
以下、順番に説明します。
平均購入単価を上げる
平均単価を上げても顧客が他社の製品を購入しないためには、「この会社の製品を使い続けたい」という強いロイヤリティが必要です。例えばiPhoneユーザーはAndroidよりも高額であってもiPhoneを使い続けます。しかしここにはiPhoneの強烈なブランドが不可欠です。
購入頻度を上げる
購入頻度は新機種への買い替えと考えれば分かりやすいです。これも新製品への信頼感、魅力がなければ古いものを使い続けるでしょう。その反対に、まだ買ってもいないのにiPhoneユーザーは、新機能を試してみたくてしょうがないという気持ちにさせられます。
継続期間を伸ばす
継続期間は契約期間と同じです。2年縛りもなくなり通信契約はいつでも打ち切ることが簡単になりましたが、それでもiPhoneユーザーはiPhoneをそのブランドを継続して享受したいという気持ちが強いです。
獲得費用を下げる
獲得費用も同じことが言えます。Androidへの根強い愛着を持っているファンをiPhoneに鞍替えさせることは難しいですが、あまりAndroidかiPhoneかにこだわらない層にとっては価格さえ納得がいくならばiPhoneの持つブランドイメージは強力な武器となっています。
維持費用を下げる
顧客維持費用に関しても、大きなキャンペーンなどを打つ回数も抑制することができます。割引や特典、プレゼントなどのサービスを大々的にやらなくても、商品自体が強固なブランドイメージを持っていればそうした本質的でない部分で簡単に製品やサービスを乗り換えることも多くはないです。
さいごに
以上見てきたように、ブランディングとは高級感を漂わせると言ったイメージ戦略ではないということが分かります。確かにイメージを良くするということもブランディングの担う役目の一つですが、マーケティングで使う「ブランディング」とはブランディングは顧客に愛される存在になることです。
顧客から愛されることで、企業や製品に対する顧客のロイヤリティが向上し、そのことは顧客生涯価値を上げることにつながります。
単にブランディングをイメージアップとしてだけ捉えるのではなく、こうしたマーケティング的視点でブランディングを理解、実践することが大切です。