企業がモノやサービスを売っていこうとする時には「戦略」が必要です。
市場に絶対的にモノが足りない時代には、企業はマーケティングやブランディングなどなしにモノを売ることができました。
例えば、極端な話ですが食料品がまったくない時代では、食品会社はわざわざ食欲をそそるような宣伝活動をしなくても食品は売れました。同様に、「この会社から買いたい」と消費者に思わせるような、企業の価値を高めるブランディングをしなくてもサービスは利用されました。
ところが現代ではブランディングもマーケティングも欠かせなくなってきています。この記事ではこれらの概念がなぜ必要なのか、その違いは何なのかについて解説します。
この記事の目次
ブランディングすればこんな事が可能になる
ブランディングによって競合他社と差別化できる
生活必需品ではなく、急いで買わなくてもいい商品の場合「なぜその商品を選ぶのか」がとても重要になってきます。
例えば、パソコンは何を買っても同じ性能だと言える状態ですが、それでも一流メーカーのものが売れていきます。これは、テレビコマーシャルや雑誌などで良いブランドイメージが普及しているからです。
また、ビジネスシーンを離れてみれば、Windowsマシンではなくアップル社のパソコンは大人気です。会社でWindowsマシンを使っているのだから、家ではスタイリッシュなかっこいいMacBook Airを使いたいと考えている人はたくさんいます。
顧客ロイヤリティが高いので乗り換えられる心配が減少する
消費者は基本的には移り気な存在です。良いものがあれば、安いものがあれば普通は今使っているものよりもそちらを選ぶのが普通です。しかし、自動車の場合トヨタの車に乗っている人はトヨタ、ホンダが好きな人はずっとホンダに乗り続けるという傾向があります。
また、パソコンも継続して同じメーカーを買うという人が多いです。スマートフォンも同じことが言えます。iPhoneが好きな人はiPhoneを継続し、Androidが好きな人は買い替え時にもAndroidを選択することが多いです。
このように、一旦その会社の出す製品のファンにしてしまうと、その顧客ロイヤリティの高さから買い替えリスクを減少させることができるようになります。
ブランドイメージにより価格を高額に設定できる
日本経済が深刻な不況だった時に、外食チェーンなどは価格を下げられるだけ下げました。また消費者も安いもので済ませるという消費生活が定着して、ただブランドイメージだけに頼っては商品が売れない時代が訪れました。
しかしながら、その間も、そして少し景気が持ち直すとかならずブランド品は売れていきます。これはやはり商品の実用性だけでなくブランドの持つ少々価格は高くてもかっこいいイメージのものを身に着けたいというブランド神話が生きている証拠です。
先程例に出したアップル社のMacBook Airを持ち込んでスタバでコーヒーを飲むというのも、Windowsマシンを使って家でコーヒーを淹れることよりもずっとお金がかかるにも関わらず、消費行動を取る消費者は一定数以上います。
企業イメージが向上し商品あたりの広告コストを下げることができる
いったんブランドイメージを獲得してしまえば、新製品を出すたびごとに莫大なプロモーションをかけなくても商品の認知度を上げることができます。
例えば「あの会社のものなら絶対に安心だ」「あの会社の新製品はいつもチェックしている」というロイヤリティの高い既存顧客に対しては、わざわざテレビコマーシャルを打つ必要はありません。
そうした、個別の商品ブランドだけでなく企業全体にブランドイメージを持っている消費者は、電子メール1本、ダイレクトメールのはがき1通だけで、新製品に飛びつきます。
さいごに
ブランディングと言うと華やかなイメージを醸し出す、という漠然とした印象を持っている人が多いです。
しかしながら、マーケティング活動にとってブランディングとはここに挙げた「競合他社との差別化」「乗り換えリスクの減少」「高額設定」「商品あたりの宣伝コストの抑制」などの実利的な効果をもたらします。
こうしたメリットを認識して積極的にブランディングを継続することが企業活動にとっては欠かせないと言えます。